VDTタイマーの有効性の評価(学会ポスター)

VDTタイマーの有効性の評価 (拡大)

PC作業の疲労予防のためのソフトウェア「VDTタイマー」の効果を、「ランダム化比較試験(RCT)」という科学的な方法を用いて評価しました。作業時間や小休止への意識や行動は明らかに改善し、自覚症状にも改善を示唆する傾向が見られました。

(この内容は、2009年5月の日本産業衛生学会でポスター発表する予定でしたが、新型インフルエンザの世界的流行に伴い参加を中止したため、いち早くWebで公開することにしました。)

作業時間をターゲットとした新たな指導法の開発

VDT作業(PCを用いた作業)の疲労症状には、目の疲れ、肩こり、イライラ感などがあります。それらを予防するために、モニタやキーボードの位置や座り方など、作業姿勢を改善する方法や、画面の写り込みや部屋の明るさなどを作業環境を改善する方法などがあります。液晶ディスプレイや小型PCの普及で、作業姿勢や作業環境は少しずつ改善してきています。

もうひとつ「連続作業時間」や「合計作業時間」なども疲労症状と大きく関係があります。しかし、PC作業時間は増える一方です。また、1時間を目安に小休止を取ることも推奨されていますが、作業中はなかなか時間の経過に気づきにくく、疲労症状をためてしまいがちです。

そこで、一定時間の経過をユーザーにお知らせするソフト「VDTタイマー」を用い、作業時間を意識させることで、ユーザーの疲労症状が緩和できるかどうか、ランダム化比較試験(RCT)という科学的な手法を用いて調べてみることにしました。

vdttimer_screenshot.jpg

某企業でランダム化比較試験を実施

ある企業のソフトウェア開発を行う部署で、安全衛生委員会の健康作りイベントとして、この調査への協力を依頼しました(社内で調査を行う前に、一般ユーザーを対象にモニターテストを行い、VDTタイマーの使用がPCの業務使用に悪影響を与えないというデータを得ておきました)。

応募者54名を、VDTタイマーを使用するグループと、使用しないグループの2つにランダムに割り当てました。それぞれ、調査開始時、1ヶ月後、2ヶ月後の3回、Web上でアンケート調査を行いました。

アンケートの項目は「年齢、性別、VDT作業の種類、作業時間、小休止を取っていたか、自覚症状の有無、生産性への影響」などです。データ解析は知人に手伝ってもらいました。

結果:ユーザーの意識と行動は明らかに改善

vdttimer_graph0.jpg

上のグラフにあるように、VDTタイマーを使うことによって、作業時間の経過や、連続作業時間をより意識するようになりました。まあ、画面上にアラームが表示されるので、当然の結果ですね。さらに、小休止に対する意識も向上し、実際に小休止を取ると答えた人も増加しています。

結果:使用を継続することで自覚症状の改善効果も期待

vdttimer_graph1.jpg

一般的に、こうした介入研究で、自覚症状の改善などの効果が見られるには、数年単位の時間がかかります。今回の調査も、たった2ヶ月の期間でしたので、それぞれの自覚症状のスコアには有意な変化が見られませんでした。

ただし、詳しく解析したところ、いくつかの項目で改善傾向を示す結果も得られ、VDTタイマーの使用を続けることで、自覚症状が改善する可能性も示唆されました。

結論:VDTタイマーは作業疲労の予防に有効である

今回の調査で、これまで介入することが難しかった「PCの作業時間」「連続作業時間」について、「作業時間の経過をお知らせする」というシンプルなソフトウェアを用いることで、作業者の意識や行動に改善をもたらすことがわかりました。このソフトウェアの使用を続けることで、目の疲れや肩こりなどの症状をさらに改善できる可能性も示唆されました。

vdttimer_banner.jpg

参考:
VDTタイマー ダウンロード
2008年に発表したポスター「VDT作業の労働衛生管理」
72%のユーザーが「VDTタイマーは有効」と回答
Microsoft ヘルシー・コンピューティング・ガイド
厚生労働省 VDT作業のためのガイドライン(2002年)

VDTタイマー for Mac OS X 登場!

VDTタイマーforMac登場.jpg

ついに!VDTタイマー for Mac OS Xが完成しました。

Dock-2.png

ユーザーの疲れ目や肩こりを予防するため、しっかり時間をはかってくれます!

Macでプログラミング(VDTタイマー)

vdttimer_mac.png

PC作業の疲れを予防するためのアプリケーション「VDTタイマー」のMacバージョンを作りました。

vdttimer-2.png

参考書を2冊読み込む

Macでプログラミングをするのはこれが初めて。まずは入門書『たのしいCocoaプログラミング』と『Cocoaではじめよう Mac/iPhoneプログラミング入門』を買い、サンプルソースを入力してみました。

Macには、ソフト開発に必要なツールがすべてOSに付属しています。プログラムにはObjective-Cという言語を使用します。この言語のベースはC++なのですが、やけに [ ] を多用しており、1つのソースに2つの文法が混在しているような、独特な言語です(慣れてしまえば平気ですが)。

入門書には書かれていないこともたくさんありますが、この2冊のおかげで「分からないことがあったらヘルプやGoogleで調べられる」ようになりました。

Fullscreen.png

「もっと具体的に質問せよ(英語)」の壁

VDTタイマーでは「ユーザーがPCを操作していないときタイマーを止める」という処理をしています。そのため、キーボードやマウス操作を監視しようと、やり方を検索してみたのですが、なかなか情報が見つかりません。

Discussion Boardなどでも、同じような質問がたくさんあるのですが、「CocoaアプリかCarbonアプリかAppleScriptかが分からないと答えられない」「何をしたいのか伝わってこない」「質問する前に過去ログを調べろ」「100年ROMれ」など、厳しいけど役に立たない回答ばかりで……。

結局は「CGEventSourceSecondsSinceLastEventType」という、「ユーザーが何も操作していない時間を取得する」APIがあることがわかり、あっけなく解決したのですが、とても時間がかかりました。

icons.jpg

また、ドックのアイコンにプログレスバーを表示する仕組みは、こちらの記事を参考にしました。グラデーションのかかった画像を使い、立体感を出しています。

Windowsとのお作法の違い

ソフトウェアの操作法には「お作法」があります。つまりWindowsはWindowsらしく、ケータイはケータイらしく、MacはMacらしく、共通の操作性を持たせなければならない、ということです。

MacとWindowsでは「設定画面」に関するお作法が全く違います。Windowsでは、設定ダイアログの「OK」ボタンを押すまで、変更は反映されません。ところが、Macの設定ダイアログには「OK」ボタンも「キャンセル」ボタンも無く、ユーザーの操作はリアルタイムに反映されるのです。

Microsoft Windows XP-1.png

Mac OSには、こうした操作を支える「バインディング」という仕組みがあります(上記の2冊の参考書では全く触れられていません)。この仕組みを使うと、設定ダイアログへの値の割り当て、ユーザー操作の反映、データの保存と読み込みまで、すべて面倒を見てくれます(解説)。(2009/05/05追記:Apple 日本語ドキュメント集のページにある、Cocoaセミナー上級編の動画+資料が、バインディングの自学習にとても便利でした)

Mac Dialog.jpg

もちろん、設定ダイアログのデザインにも「Windowsっぽさ」「Macっぽさ」があります。OS付属のアプリケーションなどを参考に、ダイアログの画面を設計していきます。

あとは「かわいいアイコン」を作るだけ

WindowsアプリとMacアプリには色々な操作法の違いがありますが、一番の違いは「アイコンの美しさ」だと思います。Mac版VDTタイマーにも、最後の仕上げとして、Macの画面になじむかわいらしいアイコンを作る予定です。