今すぐできる、ストレスが小さくなる5つの考え方(3)

ストレスが小さくなる考え方(3)

前回の記事で紹介したように、ストレスが多いと悩んでいる人は、知らず知らずのうちに「ストレスが多い考え方」をしています。そんなとき、ストレスが小さくなるような他の考え方を思いつくことができれば、ストレス対処にとても効果的です。

ストレスが小さくなる考え方をしてみよう

例えば、前回の「ストレスが多くなる5つの思考パターン」にはそれぞれ次のような対処法があります。

ストレスの小さくなる考え方

それでは実際に、Aさんのそれぞれの考えについて、ストレスが少なくなるような他の考え方を探してみましょう。

全か無か思考

全か無か思考を修正するには、足りないところだけではなく、できているところにも目を向け、0〜100点で考えるようにします。また、自分と相手の責任範囲はそれぞれ何パーセントなのかを考えます。

否定的な考え方

否定的な考え方に対処するには、その出来事から少し距離を置いて、全体を見るようにします。よく考えれば、失敗ばかりではなく、たまには上司に認められたこともあるでしょう。それはどんな時だったのか、具体的に考えてみます。

先読みの誤り

次から次へと悪い考えが浮かんできて止まらなくなったら、頭の中で軽くブレーキを踏んでみましょう。そして、何か備えておくことは無いのか具体的な行動を考えます。自分でコントロールできないことには「開き直る」ことも大切です。

他人の心の読み過ぎ

周囲の人は、Aさんのことを「ダメ社員だ。今すぐクビにするべきだ。なんて愚かなヤツだ。」と本当に思っているのでしょうか。「本人から聞いたわけでもないのに、証拠もなしに相手の気持ちを決めつけるのはやめよう」と考えましょう。

べき思考

「べき思考」に対しては、「べき」の部分を「だったらいいなあ」「けれど、時にはそうでないこともあるよなあ」と置き換えます。すると気持ちの余裕が生まれて、他のことや、今後の対策を考えられるようになります。

ストレスが小さくなる5つの考え方を、反復練習で身につけよう

ストレスを感じたときは「ストレスが多くなる考え方」をしていないかどうか、他に「ストレスが小さくなる考え方」があるかどうか、落ち着いて考えてみましょう。紙に書き出す方法が効果的です。最初は難しくても、反復練習を行ううちに、だんだんと合理的な考え方が身につき、以前ほど多くのストレスを感じなくなります。

参考資料として、Aさんが実際に記入した用紙を掲載します (クリックで拡大)。

ストレスが小さくなる考え方(実習)

参考記事
今すぐできる、ストレスの小さくなる考え方(1)
今すぐできる、ストレスの小さくなる考え方(2)
今すぐできる、ストレスの小さくなる考え方(3)
ストレスに負けない仕事術1 (ストレスコーピング基礎編)
ストレスに負けない仕事術2 (ストレスコーピング実践編)

この記事は、私が専属産業医をしている企業内で配信しているメールマガジンの内容を、ウェブ用に書き直したものです。

今すぐできる、ストレスが小さくなる5つの考え方(2)

Stress Management2

ストレスが多いことで悩んでいる会社員のAさんは、前回の記事で取り上げた「上司に怒鳴られた」という場面に遭遇したとき、次のようなことを考えていました。

Stress2-2

前回の記事で「悲観的な考え方や否定的な考え方は、マイナスの感情を引き起こし、ストレスの原因となる」と述べました。ストレスが多い人の考え方には次のようなパターンがあります。Aさんの考え方がどれにあてはまるのか、整理してみましょう。

ストレスの多い考え方(2)

ストレスの多い考え方(2)-3

「いつも」とか「まるっきり」という言葉は「否定的な考え方」や「全か無か思考」に特徴的です。また、恥ずかしいと感じる時には「他人の心の読み過ぎ」が関係しており、怒りを感じるときには「べき思考」が関係しています。このように、ストレスを感じたときの考え方は「5つの思考パターン」のいずれかに当てはまることが多いのです。

次回の記事では、この「ストレスの多い考え方」を「ストレスが小さくなるような考え方」に変えることができる、上手な対処法をご紹介します。

この記事は、私が専属産業医をしている企業内で配信しているメールマガジンの内容を、ウェブ用に書き直したものです。

今すぐできる、ストレスが小さくなる5つの考え方(1)

Stress Management

世の中にはいろいろなストレスマネジメントの方法があります。その中から、ストレスのうまれる仕組みに注目した、「ストレスの多い考え方」を「ストレスが小さくなる考え方」にしていく方法について、数回にわたって紹介していきます。

ストレスは「自動思考」から生まれる

ストレッサー(ストレスの元になる出来事や人物)に遭遇したとき、私たちは瞬間的に「イヤだ」という気持ちを感じます。この反応は一瞬のうちに行われますが、ストレッサーに遭遇してから感情が生まれるまでの間に、実はもうひとつ重要なステップがあるんです。

それは「自動思考」というステップです。自動思考というのは、外界の物事を解釈するために、頭の中に瞬間的に浮かんでくる考えのことです。少し頭の中に注意を向けてみると、私たちはふだんから、いろいろと独り言を言っていることに気づくでしょう。それが自動思考です。

外界の情報は、この自動思考によって処理され、最終的に「感情」や「気持ち」や「判断」が生まれてきます。どんな場面でどんな自動思考が起こるのかは、その人の過去の経験や現在の状況などによって違いが生まれます。

自動思考と感情の関係

さて、次のような状況で、みなさんはどのような気持ちになるでしょうか。そのときに、頭の中ではどんなことを考えているでしょうか。

自動思考と感情の関係

ある状況に出くわしたときには、いろいろなことが頭の中に浮かび、その結果として、さまざまな気持ちが生まれます。

以前、このブログでも紹介したように、否定的・悲観的な考え方が強いと、マイナスの感情が生まれ、ストレスの元になります。ストレスが多い人は、知らず知らずのうちに否定的な考え方をしてしまうクセがあります。次回は、ストレスの元になる代表的な思考パターンについて紹介します

関連記事
ストレスに強い「考え方」を身につける
ストレスに負けない仕事術1 (ストレス・コーピング基礎編)
ストレスに負けない仕事術2 (ストレス・コーピング実践編)

この記事は、私が専属産業医をしている企業内で配信しているメールマガジンの内容を、ウェブ用に書き直したものです。

○○地区のメンタルヘルスを全社平均と比較すると…?

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健康上の理由で就業上の配慮が必要な社員に対して、産業医は「意見書」を書きます。意見書の発行状況を見ると、社員の健康状態のおおよそがわかります。
 
2006年1月から12月まで、○○地区で発生した新たなメンタル疾患の事例は X 例で、身体疾患の新規事例は X 例でした。それぞれの発生率を全社平均と比較すると、この1年間、○○地区ではメンタル疾患の新規事例が他の地区よりも少なかったことがわかります。

なぜメンタル疾患の新規発生が少なかったのか

ここ数年、環境の変化や業務量の増加などを背景に、非常に高ストレスの状態が続いています。こうした状況とメンタルヘルスの悪化の関連については社内報でも指摘されています。

それではなぜ、○○地区のメンタル疾患が他の地区よりも少なかったのでしょうか。はっきりしたことはわかりませんが、次のようなことが考えられます。

・ たまたま少なかっただけ
・ 社員個人が、ストレスに上手に対処してきた
・ 社員同士で、お互いにフォローしてきた
・ マネジャーの管理が上手になった
・ コミュニケーションが改善してきた

ストレスに強い組織とは、縦と横のコミュニケーションが密な組織です。当社に限った話ではありませんが、寸断されたコミュニケーションをどうやって再構築するのか、今後の重大な経営課題であるとともに、ひとりひとりの社員の、少しずつの努力が求められています

身体疾患の新規発生例について

昨年に発生した身体疾患のほとんどが「がん」や「心筋梗塞」です。社員の高年齢化に伴い、今後ますます増加してくると思われます。

(1) がんを早期に発見するためには

がんの発生率は40歳をすぎると急激に高まります。家族歴、喫煙の有無、性別など個々のリスクに応じて必要な検診を受けることが大切です。健康診断や人間ドックで発見されることも多いので、何か異常所見があった時には、きちんと再検査を受けましょう。

(2) 心筋梗塞や脳梗塞を予防するには

心筋梗塞や脳梗塞を予防するためには、高血圧、高脂血症、糖尿病、高尿酸血症などの生活習慣病を適切にコントロールすることが必要です。きちんと治療をうけていても、肥満や喫煙習慣があると発症リスクは高まります。20代〜40代のうちから、体重管理や禁煙を意識して生活することが重要です。

この記事は、私が専属産業医をしている企業内で、○○地区の社員に配信しているメールマガジンの内容を、ウェブ用に書き直したものです。

攻撃的な人・受身な人のトラブルシューティング (後編)

「攻撃的な人、受け身な人」のトラブルシューティング(前編)の続きです。

誰かにノーと言うことは、相手にとって耳の痛い内容(批判)を伝えることです。批判の対象には、生まれ、性別、人格、信条、文化、感情などの「批判されるべきでない領域」と、行動、考え方、言い方、態度などの「批判されてもいい領域」の2種類があります。
 

誰かに批判された時、それが当たっている場合には、素直に認めてしまいましょう。批判が当たっていない場合や、「あなたは、いつも○○だ」という、一方的な決めつけやレッテル貼りに対しては、あいまいな点を具体的に聞き返します。

相手にノーと言うことは、相手の行動によって自分がどう感じたか、自分の気持ちを言葉で伝えることです。自分の状況を伝えた後で、相手の意見にも耳を傾け、今後どうしたいかを話し合う。それが職場における適切なノーの言い方です。

相手にノーと言えないAさんは「上司の命令は断ってはいけない」「できないと言うのは、能力が無いと言うことだ」「相手の気分を害することは致命的だ」という強い思いこみを持っています。しかし、たとえ相手が年上でも、お互いに自立した人間同士なのですから、卑屈にならずに堂々とコミュニケーションしていいのです。

相手にノーと言うためには、ノーの的を絞ることが大切です。Aさんは「Bさんに、大きな声で、長い時間、みんなの前で、注意されるのがイヤだ」と思っていることに気づきました。そんな場面になると、Aさんは「おびえてしまって何も言えなくなる」のです。だからBさんに「ふつうの大きさの声で注意してほしい」と思っています。

相手が怒っている時には、何を言っても火に油を注ぐだけです。しばらく時間をおいて、冷静に話ができる機会をうかがいましょう。直接話をするのが難しければ、上司や同僚に同席してもらったり、伝えてもらうといいでしょう。

怒りの感情はBさんのものです。怒りを感じること自体は批判されるべきではありません。けれども、それをどう表現するかはBさんの責任です。

「○○は〜であるべきだ」という「べき思考」が強いと、そうでない人物や物事に出会った時に怒りの感情が生まれます。また「批判を受けることは致命的なことだ」という思いこみが強いと、何か言われるとすぐに自分への個人攻撃だと受け取って、過剰反応しがちです。

カッとした時につい大声を出してしまうと、自分の声が刺激となり、ますます怒りが強くなります。そうなると何を言っても、相手には「あなたが怒っているということ」しか伝わりません。相手を傷つける言動をしてしまう前に、安全な場所に避難しましょう。

頭の中を整理するためには、「自分はいったい、何に対して腹をたてているのか」「どうしてこんなに腹がたつのか」「相手に対して、自分は何を望んでいるのか」「相手の責任範囲はどこまでで、自分の責任は何か」と、自分自身に問いかけてみましょう。

組織を維持していくために、上司として、部下にノーと言うべき場面があります。しかし、非難したり怒りをぶつけたりするだけでは、相手は心を閉ざしてしまいます。

うまくノーと伝えるためには「今から20分ほど話をしたいんだけど」などと予告をして、相手に心の準備をさせます。話は肯定的に始め、批判のポイントはひとつに絞りましょう。言いにくいことがある時は「気を悪くするかと思って、なかなか言えなかったんだけど」と気持ちを口に出すと話をしやすくなります。

相手に「建設的なノー」を伝えるためには、まず、なぜ相手にノーと言うのか、共通の大きな目標を示します。次に、相手の行動や態度に焦点を当て、具体的な事実を客観的に指摘します。その時、卑屈になったり威圧的になったりせず、対等な目線を心がけます。

自分の言い分を述べたら、相手の状況や言い分にも耳を傾けましょう。問題点を早く指摘しなかったのはCさんの責任です。「もっと早く言うべきだった」と自分の非を先に認めて「お互い様」という雰囲気を作ると、話がスムーズに進みます。

相手を変えたい、自分を変えたい…でも、変わらない?

読者の皆さんから「ストレスの源は相手なのに、なぜ自分が努力しないといけないのか」「相手に言動を改めさせる記事を書いてほしい」という意見をいただくことがあります。

そんな時、いつも「過去と他人は変えられない」という有名な言葉を思い出します。しかし、がっかりすることはありません。相手をすぐに変えられなくても、自分のコミュニケーションのパターンを変えることで、自分と相手の人間関係のあり方を変えることができます。そして人間は、人間関係の中で変化していく生き物なのです。

今回の記事では、Aさん、Bさん、Cさんの3人に登場してもらいました。皆さんのまわりでも、よく似た出来事が起きているかもしれません。問題解決のヒントになれば幸いです。

この記事は、私が専属産業医をしている企業内で配信しているメールマガジンの内容を、ウェブ用に書き直したものです。

参考記事
ELECTRIC DOC. – アサーション (1) ~自分の意見をさわやかに表現する~
ELECTRIC DOC. – アサーション (2) ~さわやかに自己表現できない理由~
ELECTRIC DOC. – アサーション (3) ~問題解決のためのアサーション~
ELECTRIC DOC. – 「いつもと違う」部下に気づいたら……?

参考文献
『「NO」を上手に伝える技術』(森田汐生、あさ出版)
『アサーショントレーニング 〜さわやかな「自己表現」のために〜』(平木 典子、日本・精神技術研究所)