学会で発表したポスター (VDT作業の労働衛生管理)

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2007年4月25〜27日、大阪国際会議場で第80回日本産業衛生学会が開かれました。今回は「全社員を対象にイントラネットを用いて行った、VDT作業に関する労働衛生管理 (1)〜(3)」と題して、ポスターを3枚ならべて発表してきました (クリックで画像拡大)。

 
それぞれのポスターはA0版、広げた新聞紙2枚分の大きさです。1〜2メートル離れても読みやすいよう、48ポイント(約1.7cm)という大きな文字を使っています。ポスターの原稿は、MacのPagesというワープロソフトで作成しました。

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ポスター会場の模様

VDT作業とはいわゆるPC作業のことです。VDT作業を長時間続けて行うと、目の疲れ、肩こりなどの症状が起きます。これを予防するためには、作業環境や作業姿勢を整えるとともに、作業時間を管理することが大切です。

今後は、VDT作業の時間管理を手助けするソフト「VDTタイマー」を使い、自覚症状の軽減や生産性改善の効果があるかどうか、検討していきたいと考えています。

学会でカメラ係をしてきたよ。

9月16日に日本産業衛生学会の関東地方会が行われ、「職場のメンタルヘルス」をテーマに4人の先生の講演がありました。今回は会場のカメラ係として参加してきました。
 
「職場のメンタルヘルス」をテーマに4人の先生の講演がありました。今回も色々な話があったのですが、特に印象に残ったのは次の4つのポイントです。

  • うつ病を早期に発見して対応するためには家族によるケアも重要。家族が相談できる窓口を明確にしておくこと。
  • 業務に関係ないことが原因のうつ病でも、治療を受けさせなかったり、仕事を続けさせたりして病気が悪くなったとき、会社は責任を問われる。
  • 3月に発表された「労働者の心の健康の保持増進のための指針」は、事業者責任の根拠になるので、メンタルヘルス対策の必要性を説明するときに役立つ。しっかり読んでおくこと。
  • 何か活動するときは「なぜその活動を選んだのか」説明できるようにする。その時に手に入る、もっとも信頼できるデータ(根拠)に基づいた活動をする。

また今回は、学会の運営に協力するボランティア・スタッフとして参加しました。会場内の写真係を頼まれたので、発表者の先生がたや、会場内の風景を (じゃまにならないよう気をつかいながら) 撮影しました。

発表者の写真って、なかなか難しいですね。目をつぶっていたり、そっぽを向いていたり、タコみたいな口になっていたりで、顔じゃなくて手に持っているマイクのほうにピントが合っていたりとかで、「男性はカッコよく」「女性は美しく」撮れるまで、何度も撮り直しました。

いやぁ、何事も経験ですね。楽しかったです。

熱海で勉強会 + 写真を撮る

熱海で「職場のメンタルヘルス」に関する泊まり込みの勉強会がありました。年齢や立場に遠慮することなく本音の議論ができる会で、今回も大変勉強になりました。
 

職場のメンタルヘルスの勉強会

職場のメンタルヘルスにはいろいろな切り口があります。復職判定制度、社員教育、休業中の社員のケア、病態の把握と理解、薬物療法や職場の環境調整だけでうまく回復しないケースへの対処、安全配慮義務とプライバシーの保護の線引き、人事との連携……などなど。

たくさんのことを勉強すると最初は頭の中が混乱しますが、整理がついてくると、ひとつの事例を複眼的に見られるようになります。すると、病状の評価や今後の対応についても、方針が立てやすくなります。

昨年の勉強会は琵琶湖で行われました。そのときの自分と、今の自分を比較して、この1年間を振り返ると、産業医としてずいぶんレベルアップしたような気がします。臨床心理士やEAPについても、国内外のいろいろな状況を知ることで、考え方が少し変わってきました。

やはり、学会や研究会などで多くの人にお会いして、話を聞き、質問をして、勉強のヒントを頂いたおかげだと思います。今年は「有料のセミナーにも積極的に行ってみる年間」です。どこかでお会いすることがありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。

E-330と熱海

ところでこの週末は、オリンパスのデジタル一眼レフカメラE-330を購入して、はじめて天候に恵まれました。熱海への道すがら、秋葉原のヨドバシカメラで、「望遠ズームレンズ Zuiko Digital 40-150mm f3.5-4.5」とカメラバッグを購入しました。早くも『レンズ沼』にずぶずぶと足を踏み入れています。危険ですね。

熱海では、海の深いブルー、薄もやのかかった春の空、ところどころに咲く花々など、ひさしぶりに鮮やかな色彩に出会いました。シャッターを切るのが楽しくて仕方がありません。

僕は出不精なほうなのですが、季節のいろんな場面を撮ってみたいとか、今度の週末はどこに出かけようかとか、すっかりカメラマン気取りです。デジタル一眼レフは撮影者を「その気にさせる」不思議な道具ですね。

病気の社員だけがケアの対象ではない

1月12日~13日、早稲田大学で行われた第13回日本産業ストレス学会に参加してきました。産業医や保健師、臨床心理士、人事コンサルタント、メンタルヘルス関連企業など、いろんな人が参加していました。
 

◆疾病モデルからパフォーマンスモデルへ

昨今の産業保健のキーワードのひとつに「疾病モデルからパフォーマンスモデルへの転換」という概念があります。僕はもともと「産業保健とはリスク管理とパフォーマンス維持・向上のための活動だ」と考えているのですが、今回の学会でも、繰り返し強調されていました。

これまでの産業保健活動といえば、病気の予防や、病気になった社員への対応といった、疾病予防・疾病管理の考え方が中心でした。しかし、病気でなければ良いとする考え方は、会社や社員の期待に十分応えられなくなってきました。

現実に社内で問題となっているのは、病気やその他の原因で仕事ができなくなり、パフォーマンスが低下した状態が続くことです。パフォーマンスが落ちた人をどう支援するか、パフォーマンスを落とさないために何ができるのか、高いパフォーマンスを維持するにはどうすればよいのか、といった考え方に注目が集まっています。

このパフォーマンスモデルは、「強い企業づくり」、「働きがいのある風土づくり」、「やる気を引き出す制度づくり」などにも深く関連しています。欧米では、産業保健心理学という分野の研究もなされており、人事コンサルタントなどからの関心も高いそうです。

◆企業の中で(専属)産業医は何をするべきか

医師として、個人を相手にする仕事には慣れているためか、健康診断後の全社員面談や個別相談などには比較的なじみやすいものです。けれども「組織の健康へのアプローチ」となると、急にハードルが高くなるように思います。

産業医というリソースを、福利厚生的な健康管理だけではなく、もっと活用することはできないでしょうか。そのためには社内へ情報展開をしつつ、問題点やニーズを把握し、社内の活動や会社の施策へ結びつけていく、という能力が求められるといいます。

ところが、マネジャーや人事、経営層、労働組合などと、どう関係していけばよいのか、僕にはまだよくわかっていません。産業医主導型の活動よりも、社員主導型(参加型)の活動の方が効果的だと言われています。昨年は日本IBMを訪問して、金子多香子先生のお話を聞いてきましたが、そういった先輩たちの活動事例の中に、ヒントがあるのかもしれません。

◆それぞれの専門職が共通言語で話す

実は1年くらい前まで「臨床心理士なんて産業保健の現場には不要だ!」と、ライバル視していたことがあります。メンタルヘルスが、産業保健活動の大きな割合を占めてくると言われていた中で、産業医の仕事や立場を脅かされるような気がしていたのです。

その後、色々な事例を経験し、他の企業の現場を見聞きし、心理職の方からも教わる中で、少しずつ考え方が変わってきました。今回の学会でも「産業医、看護職、心理職、人事などが共通言語で会話することが必要だ」と言われていましたが、まったく同感です。

社員にとって不幸なことに、「体の病気は診るがメンタルのことはわからない」という産業医、「栄養指導しかしません」という保健師、「カウンセリングしかやりません」という臨床心理士、「うつ病なんて怠け病だ」という人事担当者など、少し前まではそんな人が珍しくありませんでした。

企業によって産業保健スタッフの人数や構成は異なりますが、お互いの分野を少しずつ学びあい、「個人の健康や組織の健康は、会社の利益や業績と一体である」という認識を持って共同することができればメリットが大きいと思います。そういう方向へ動いていくために、産業医として会社の中で何をするべきか、つねづね考える毎日です。

◆最後に

今回の学会では、岡山で一緒に勉強していた人と久しぶりにお会いしました。東京で知り合った人とも、こういう機会に顔をあわせることが多くなりました。同じ分野で仕事をしている人の姿を見ると、「よし、僕もがんばるぞー」と、元気がわいてきます。今後ともよろしくお願いします。

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第78回日本産業衛生学会のまとめ

 

4月20日~24日に東京で行われた第78回日本産業衛生学会に行ってきました。職場の安全や、はたらく人の健康に関するいろんな発表がありました。その中で気になったいくつかの話題をピックアップしてみます(昨年の学会の感想)。
 

■ダイエット食品を用いた減量指導

テレビや電車広告で有名なダイエット食品「マイクロダイエット」を用いた減量指導の報告がありました。特定の商品や健康法を扱った発表は、発表と言うより宣伝だったりすることもあるので、学会でこのような発表が行われることはとても意外でした。まゆにしっかりとつばをつけて、発表を見てきました。

実際に33名の社員を対象に実施した研究では、2ヶ月間で約4kgの減量効果があったそうです。ダイエット食品を取り入れた方法と他の方法を比べてみると、摂取カロリーを制限するという点では違いはありませんが、カロリー計算の面倒が無く、早期に結果を体感できるという点では優れていると思います。しかし、ダイエット食品は「やせ薬」ではありません。何よりも生活スタイルの継続的な改善が必要なことには変わりありません。

■ITで健康を支援する学習システム

何でもかんでも「IT」と騒いでいた時代は終わりましたが、禁煙や減量、メンタルヘルス教育などをPCを通じて行おうという取り組みは盛んに行われています。「e-ラーニング」などと呼ばれるこの方法には、個人的には大きな魅力と可能性を感じています。

しかしながら、発表や展示を見てみると、ソフトが使いにくそうだったり、文章が読みづらかったり、画面レイアウトが稚拙だったり「これなら冊子でいいか」と思うようなものが多く、なんだか残念でした。

情報を紙芝居的に表示したり、挿し絵をパタパタアニメで動かしたりすることが「IT技術の活用」ではありません。「e-ラーニング = 電子紙芝居」という固定概念から早く脱却すべきでしょう。e-ラーニングならではの高い教育効果を追求するためのヒントは、企業の製品紹介サイトにあるさまざまなコンテンツに隠されているのだと思います。

■長時間残業への対策

以前の記事でも少し取り上げましたが、残業問題は本当に頭の痛い問題です。「長時間残業者への面談」をいくら行っても残業が減るわけではなく、社員からも上司からも「またか」とイヤな顔をされ、しまいには残業という言葉を口にすることすら面倒になってしまいます。

今回の学会でも、残業対策にまつわる多くの発表がありました。今さら繰り返すまでもなく、残業によって健康を害することは明らかです。その中で、われわれ産業保健スタッフのできることは、

・残業の心身への影響について教育して自衛を呼びかけること
・体を壊しそうな社員を早く見つけて適切な処置を手配すること
・残業の実態と健康リスクについて上司や経営者に情報を提供すること

の3つしかありません。残業そのものを減らす努力は、社員や上司、労働組合や経営者、国の施策にまかせるしかないのです。

実際に取り組んでいる企業の担当者と話をしていく中で、何を目的として、どのように活動すべきか、自分の考えを整理することができました。

■仕事のストレスに関する研究

従業員のメンタルヘルスについて、仕事とストレスの関係を調べる研究が盛んに行われています。その研究発表を聞いていつも思うことは、「じゃあ、どうすればいいの? 具体的な対応策は?」ということです。

例えば「残業時間が長いほどストレス反応が高いことがわかった」という発表があったとします。もちろん研究の方法やデータのまとめ方にも興味はありますが、一番知りたいのは「では、どうしたら残業時間が減るの?」、「どうすればストレス反応が減るの?」ということなのです。

しかし、多くの研究はそのような疑問に対する答えが用意できていません。そのことに対して不満を感じていた時期もありましたが、最近では、研究結果を実務の場で活かす方法を考え、実践し、フィードバックを返すことは、実はわれわれ現場の実務担当者の役割ではないだろうかと思うようになりました。

■行動変容、アサーション

1年前に産業医になって、最初に遭遇した問題は「効果的な健康指導を行うにはどうしたらよいのか」ということでした。ただ「体重を減らしましょう」とか「お酒をやめないと死にますよ」などと言うだけでは、効果が期待できるはずもなく、何のために健康指導をしているのかわかりません。

この疑問に答えてくれたのは、昨年の学会のときに一緒に飲みに行った、ある研究者の言葉でした。「それは『行動変容』というんですよ。心理学の分野のひとつです。」 彼にすすめられた本を買って勉強することでずいぶんと理解が深まり、実務にも役立っています。

今年は「アサーション」という言葉を覚えて帰ってきました。アサーションとは「言いたいことを言えずに落ち込んだり、逆に強く言いすぎたと後で悩んだりしないように、さわやかに自己表現する」ということです。教えてもらった参考文献をさっそく手に入れて勉強していますが、非常に明快でタメになることが書かれています。アサーションについては、いずれこのサイトでも触れてみたいと思います。

参考文献:
「アサーショントレーニング -さわやかな自己表現のために-」 (平木典子)
「自己カウンセリングとアサーションのすすめ」 (平木典子)

■まだ勉強不足の分野

産業保健と言えば、工場の生産ラインのように工作機械や化学物質を扱う作業現場の安全を忘れることはできません。今回の学会でも多くの発表がありましたが、僕の担当している地区にはこのような現場が無いため、関心はそれほど高くありません。まだまだ勉強不足を実感します。

■このサイトを見られている!!

一番驚いたのは「サイト、見てますよ!」と何人かに声をかけて頂いたことです。いやあ、本当にびっくりしました。これからもホント、よろしくお願いします。日本の産業のために、はたらく人たちの健康のために、力を合わせてがんばっていきましょう!!