Beyond Bullet Points プレゼンメソッド (1)

bbp_1_1.jpg

ノートPCと液晶プロジェクタのおかげで、誰もがPowerPointを使ってプレゼンする時代になりました。しかし、スライドを読み上げるだけの退屈なプレゼンも多く、そのPowerPoint文書をメールで送ってくれれば、わざわざ話を聞かなくてもいいのでは……とすら考えてしまいます。

そろそろ、箇条書き(Bullet Points)を読み上げるだけの退屈なプレゼンはやめにしませんか。参加者に情報を適切に伝え、聞き手を動機づけ、その気にさせる効果的なプレゼン手法「Beyond Bullet Points (BBP)メソッド」についてご紹介します。

■肝心なのはストーリー

無関係の情報をバラバラに与えられても、私たちはうまく理解できません。人は古くから、ものごとを意味のある「ストーリー」として理解してきました。

screen-capture-1.png

BBPメソッドではプレゼンを「オープニング → 本編(Aパート・Bパート・Cパート)→ エンディングの形式で組み立てます。

■主人公(=聞き手)を引き込むオープニング

プレゼンテーションの最初の5分間をオープニングにあてます。プレゼンテーションの主人公は「聞き手」です。オープニングの目的は、聞き手をプレゼンに引き込み、感情移入させることです。

BBPメソッドでは次の5つの要素を使ってオープニングを組み立てます。

舞台背景 (Settings) : 聞き手のいる舞台背景(場所や時代)
主人公の役割 (Role) : 聞き手の置かれている立場や状況
A地点 (Point A) : どのような問題点や課題を抱えているか
B地点 (Point B) : 聞き手は何を望んでいるか
核心 (Call to Action) : A→Bに達するにはどうすればよいか

例えば『平成20年度販売戦略会議』だとこんな感じ。

舞台背景 (Settings) : ○○業界の売り上げは年々下がっている
主人公の役割 (Role) : 当社も今年度の目標達成が厳しかった
A地点 (Point A) : 次年度はさらに厳しい結果が予想される
B地点 (Point B) : 売上アップをもたらす販売計画が求められている
核心 (Call to Action) : このプランを検討しよう

この形式は研究発表のような情報伝達型のプレゼンテーションにも応用できます。例えば『日本ウィルス学会』だとこんな感じ。

舞台背景 (Settings) : ○○ウィルスによる○○病は研究が難しい
主人公の役割 (Role) : 薬が効きにくい仕組みをなかなか解明できない
A地点 (Point A) : ○○細胞の登場により培養が簡単になった
B地点 (Point B) : 治療抵抗性の細胞が出来れば多くのことがわかる
核心 (Call to Action) : 我々はモデル細胞を作り、その性質を分析した

同じテーマでも『日本内科学会』だとこんな感じ。聞き手(主人公)が違えば、当然、話の流れも変わってきます。

舞台背景 (Settings) : ○○ウィルスによる○○病は治療が難しい
主人公の役割 (Role) : 多くの患者で薬が効かず、治療医は困っている
A地点 (Point A) : ○○細胞という実験細胞で治療抵抗性を再現した
B地点 (Point B) : その仕組みを解明すれば治療の進歩に繋がる
核心 (Call to Action) : 実験で得た結果を実際の患者と比較した

オープニングの目的は「これから話される内容は、自分の問題と関係がありそうだ」と当事者意識を持ってもらうことです。ここで聞き手に感情移入してもらえるかどうかが肝心です。

■本編は3×3×3構成で

プレゼンの中身は大きく3つの話題で構成します。それぞれの話題について「キーポイント、説明、詳細」という形式でストーリーを組み立てます。ついつい情報を詰め込みたくなりますが、ストーリーの「核心」に関連する話題のみを慎重に選ぶようにしましょう。

screen-capture.png

表の中には「経緯」「実験結果」などといった単語を書き込むのではなく、「○○細胞により○○ウィルスの実験が容易になり、研究が進んだ」、「○○分析では○○タンパク質の働きに変化が見られた」のように、フルセンテンスで記入します。この文章は後にスライドのタイトルとしても利用します。

このように内容を整理しておけば「申し訳ないけど、5分で説明して」と言われたときにも、慌てずに「キーポイント」を説明できます。すべての内容を説明すると45分程度かかります。

■次回は「台本」の話

こうしてストーリーの骨格ができあがったら、次は「台本」を準備します。詳しくは書籍『beyond bullet points』(著者:Cliff Atkinson)をご覧ください。

メンタルヘルス、Ruby on Rails講演の発表資料

1月は人前で話をする機会が多く、先々週・先週・今週と、合計3回の講演を行いました。ダイジェストでご紹介します。

1月はプレゼンが多かった.001.jpg

↑これは1月10日に社会経済生産性本部の研究会で企業の人事担当者の方々に発表したものです。産業医としての私の経験からメンタルヘルス不調の職場復帰事例にまつわる問題と、その対応についてお話ししてきました。

1月はプレゼンが多かった.002.jpg

↑こちらは1月19日に、産業能率大学のヘルスケア研究会で「コミュニケーションと人間関係 〜問題を解決する2つの図解ツール〜」と題して発表したものです。2月に社内で行うメンタルヘルス研修でもこのテーマで話をする予定です。

1月はプレゼンが多かった.003.jpg

↑こちらは1月22日に株式会社ウェブキャリアで行われたRuby on Railsセミナーの資料です。hakatterの開発に関するアマチュアプログラマの苦労話を赤裸々にお話ししました。60〜70名の方に参加していただき、とても盛況でした。

こうした講演はすべて「Beyond Bullet Points」という参考書の方法で準備しています。印象的でわかりやすいプレゼンを誰でも行える、とてもシンプルで効果的な方法が紹介されています。残念ながら日本語の記事があまりないので、少し解説してみようかしらと思っています。

追記:ご感想をいただきました。ありがとうございます。
[Rails] Award on Rails 2007受賞者が語る
Award on Rails 2007 受賞者によるRuby on Railセミナーに参加しました

Ruby on Railsのセミナーを行います

2008年1月22日(火)に(株)ウェブキャリア様が主催する「Ruby on Rails」のセミナーで講師を務めることになりました。(株)ドリコム主催のAward on Rails 2007で大賞をいただいた「hakatter」の開発についてお話する予定です。セミナーは無料です。興味のある方はぜひご参加下さい。

※イラスト中のロゴはAward on Rails 2007のもので、セミナーとは関係なかったりします。副賞としてシールを大量にいただいたので、あちこち貼りまくっているのです(笑)。

職場のメンタルヘルス対策について発表しました

presen_shokuba_mh.jpg

8月〜9月と、社外の勉強会で「職場のメンタルヘルス対策」についてお話をさせていただきました。ふだん考えていることを、人前で発表できるようにまとめたりプレゼンしたりすることはあまり無いので、このような機会をいただきとても感謝しています(いつか来る本番に備えたよい練習になります ^^;)。

さて、今回は「職場のメンタルヘルス事例の問題点」「病気と業務パフォーマンスの低下」「うつ病の症状と治療」「早期発見と早期対応のコツ」「メンタルヘルス不調を予防するための職場改善」「職場のストレス要因」「特にコミュニケーションの重要性」について、グループワークを交えながら説明してきました。グループワークでは活発に意見交換が行われ、事例への対応や職場改善の取り組みなど、たくさんのヒントが得られました。

しかし、こうした集合研修では一般論を中心に説明が進んでいくため、「実際に職場で困っている複雑な事例」に対する適切な答えを得るのは難しいようです。回復を妨げる要因、回復を促す要因、職場で困っていること、本人が困っていること、職場で工夫して欲しいこと、今後の見通しなど、それぞれの事例ですべて異なります。本人、上司、人事、産業医などの関係者が、個別のケースごとに話し合いを持つことが必要だと思います。

このような機会を与えてくださった事務局の皆さんと、グループワークで活発に議論していただいた参加者の皆さんに、改めてお礼を申し上げます。

参加者の感想(アンケートより)

  • 職場復帰してきた部下への対応に悩んでいます。グループワークでは、さまざまな職場の話を聞けて参考になりました。
  • パフォーマンスの低い部下がいて対応に悩んでいました。今までは、忙しさにかまけて、対話を避けていたように思います。少しずつ本人と話をしていこうと感じました。
  • 教育の現場では、組織のマネジメントがうまく行われているとは言えず、メンタルヘルスの問題も多いようです。どうすれば改善できるのか、参加者から色々なお話をきけて参考になりました。
  • 今まで自分が取り組んできたことの再確認ができました。常にうまく対応できているわけではありませんが、方向性が間違っていなかったと知って、自分自身のモチベーションにもつながりました。

「職場の相互支援」を促す職場改善のアイディア(実習より)

  • 部下と2週間に1度、定期的に個別に面談をする。
  • 定期的に5分間の昼礼を行い、ひとりずつ順番にミニスピーチをさせる。
  • 直属の上司だけでなく、その上の上司やメンターなど、たくさんの相談相手・相談経路を作っておく。
  • パーティションを下げる。お互いの顔が見えるレイアウトにする。
  • プロジェクトの合宿や、合同の研修などを行う。
  • 同僚の仕事の状況をふだんから共有しておき、有休を計画的に取れるよう調整しやすくする。

質疑応答(実習、アンケートより)

Q: うつ病の治療には、お薬による治療と、心理療法やカウンセリングによる治療があると聞きました。それぞれどのような効き目があり、どのような事例で効果的なのですか。

A: 病院で行われている専門的な心理療法については詳しくないのでお答えできませんが、「休息」と「薬」の2本立ての治療は、まずたいていの事例に効き目があります。しかし、それだけではすっきり治らないこともあります。その場合には、本人の仕事に対する考え方、仕事の進め方、他者とのコミュニケーションのやり方など、回復を妨げている要因は何かを探り、その解決にむけて本人の気づきや変化を促すカウンセリング的なアプローチが必要です。

Q: うつ病の発症について、会社の責任と、個人の責任と、どう考えればよいのでしょうか。

A: 家庭の要因だけが原因でうつ病になるケースもありますが、職場や家庭のいくつかの出来事が重なって調子を崩すケースも多く、一概には言えません。また、ストレスの多い職場環境があったとしても、病気になる人とならない人がおり、発病には個人的な要因が大いに関係しています。ただし、会社が適切な対応をとっていない場合には、安全配慮義務違反を問われます。

Q: 病気になると業務パフォーマンスが落ちるというのは理解できましたが、職場での配慮をどのくらいの期間続ければよいのでしょうか。また、病気を理由に退職するケースもありますが、どのように考えればよいのですか。

A: そもそも雇用とは「労働を提供する代わりに賃金をもらう」という労働契約の上に成り立ちます。労働を提供できなくなれば契約を終了するわけです。しかし、病気になった途端に契約を打ち切るのではなく、治療のため一定の猶予期間を与えることになっています(期間は会社によっても異なります)。猶予期間を過ぎても体調が回復せず、業務パフォーマンスが雇用の最低ラインを下回る場合には、労働契約の打ち切りということもあり得ます。

Beyond Bullet Pointsメソッドを使ったプレゼン

「Beyond Bullet Pointsメソッド」という、ストーリー性を重視したプレゼンの構成法を試してみました。

あ〜、終わった終わった!! 今日は慣れない仕事ばかりでとても疲れました。午前中は社員向けの「アサーション」講習、午後からは関連会社さんに「効果的なメタボリックシンドローム対策」についてプレゼンテーション。特にメタボリックシンドローム対策のプレゼンは、ここ1ヶ月半ほど、保健師さんや衛生管理者さんといっしょに練り上げてきた力作です。苦労のかいあって、手応えのある反応が得られました。

今回のプレゼンは「Beyond Bullet Points」という指南書を参考に作ってみました。この本には「箇条書き(Bullet Points)のスライドを読み上げるだけのプレゼンは退屈で、何も伝わらない。何をどのように伝えたいのか、しっかりとストーリーを組み立てることが大切だ」と書かれています。

例えば、「発表する内容をスライド画面に書くのではなく、PowerPointの『発表者ノート』に書いて口で説明する。発表者ノートを印刷すれば詳細な配布資料となるので、プレゼンの後で配付しよう。」と提唱されています。こうするとスライドの内容がシンプルになって、発表者のほうに注目が集まるんだそうです。


Beyond Bullet Pointsメソッドで作成したスライド。
読み上げるのではなく、語りかけるプレゼンテーション。

プレゼンの後、参加者からは「ストーリーの筋が通っていてわかりやすかった」、「シンプルな画面と、話す内容とがきちんと一致していて、印象的だった」、「どうやってスライドを操作していたのか不思議だった」など、好意的な反応を頂きました (プレゼン用のリモコンがひそかに大活躍!)。この本の副題のとおり、参加者を「Inform, Motivate, and Inspire」するプレゼンテーションができたかなぁと思います。

うちの会社の産業医の仕事は個人面談が中心なので、こういったプレゼンテーションをする機会は、ほとんど無いんですよね。場数を踏まないと上達しないので、チャンスがあればぜひやってみたいとか考えていたら、さっそく来月に「アサーション」の講演を頼まれてしまいました。今回はWindowsのPowerPointを使ったので、次回はMacのKeynoteを使ってみようかしら。

参考

Beyond Bullet Points 著者のサイト
プレゼンテーションをテーマにしたブログ Presentation Zen