メンタル不調者の復職支援ツール

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メンタルヘルス不調者の休業期間は平均で約5ヶ月間と言われており、前後の体調不良も考えると、約1年間は労働力の損失を生じます。 休業中のケアが不適切だと回復が遅れ、その期間はさらに延びてしまいます。専門家でなくても休業中のケアを円滑に進められるようなツールを作成しました。

(1) うつ状態のステージ分類シート

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うつ状態で休業した社員に対して、適切な復職判定や回復支援を行うには、回復のレベルを正しく把握しておく必要があります。この「うつ状態のステージ分類シート」を用いると、本人・担当者・人事・上司・家族・主治医などの関係者間で、以下のような「共通用語」を用いて対応することができます。

  • 回復初期:睡眠時間が極端に長く、一日中寝ている。
  • 生活安定期①:夜に寝て昼に起きる。家の中でごろごろすることが多い。 疲れやすい。
  • 生活安定期②:日中、横にならず起きていられる。少しながら外出できる。意欲も少し戻る。
  • 復職準備期①:午後から短時間なら外出できるが、長時間や人混みは疲れる。
  • 復職準備期②:午前中からも外出できるようになる。集中力や理解力も戻ってくる。
  • 復職準備期③:出社を模した通勤訓練が、継続してできるようになる。
  • 復職可能:フルタイム5日間の出勤が1ヶ月続けられる状態になる。疲れも翌日には回復する。

(2) 生活記録表

生活記録表 [拡大] [PDFダウンロード]

回復のステージを評価するために、この「生活記録表」を用いて、睡眠時間や外出時間など休業中の生活の記録を付けてもらいます。こうした記録をもとに実績に基づいて回復の度合いについて判断することが大切です。同様の記録用紙を主治医からもらっている場合もあります。

(3) 復職準備チェックシート

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主治医の考える「復職可能レベル」と、会社側の考える「復職可能レベル」にはギャップがあります。再発のリスクを避けるためには、会社側の求める「復職可能レベル」に到達しているかどうか、客観的に評価する必要があります。

このチェックシートは「病休・休職中のうつ病患者の復職可能性判定を客観化するための 評価尺度と質問紙の開発 」の質問紙を一部アレンジしたもので、復職可能性を評価する材料になります。

こうしたツールを使うことで、本人の回復状況や復職までの道のりについて関係者間で共有できれば、職場復帰が円滑に進むようになります。

職場復帰のトラブルを避ける基礎知識:うつ状態の回復の5つのステップ

あちこちの企業の担当者に話を聞くと、メンタルヘルス不調者の職場復帰支援でもっとも難しいのは「復帰のタイミング」だと言います。特に、体調が十分に回復していないうちに復帰したがる社員への対応に苦慮しているそうです。

こうしたトラブルの背景には、メンタルヘルス不調の回復の過程や、職場復帰のタイミングについて、本人と関係者の認識が統一されていないという問題があります。

うつ状態の回復の5つのステップ

うつ状態をともなう休業事例では、一般的に次のような5つの段階を経て回復します。

第1段階:会社を休みはじめた直後、一時的に不眠などの症状が悪化することがあります。仕事は大丈夫だろうか、みんなに申し訳ない、本当に治るのかと不安がつのるためです。この時期は数日間から数週間続きます。

第2段階:本格的に休息できるようになると、一日中寝てばかりになることがあります。ごろごろと横になって過ごし、ほとんど起きられません。この時期は2週間から1ヶ月程度続くようです。

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第3段階:起き上がって身の回りのことができるようになります。好きなことを少しだけやってみようという気持ちも出てきます。買い物や散歩など、少しだけ外出もできます。この期間は1〜2ヶ月続きます。

第4段階:家の中の生活が安定し、さらに多く外出できるようになります。ただし、人の多い場所や、電車に乗ったりすると疲れてしまうようです。この期間も1〜2ヶ月続きます。

第5段階:起床時間や就寝時間など生活のリズムが整い、通勤を模した外出が安定してできるようになります。集中力や判断力が回復し、復職のことを落ち着いて考えられるようになれば、職場復帰の準備が整います。休職開始からここまで、一般的には3〜4ヶ月かかりますが、1年以上かかる事例もあります。

復職開始のタイミングはそれぞれの会社の制度によって異なる

しかし、第5段階まで回復しても、それぞれの会社の制度の違いによって、復職を開始するタイミングは異なります。

A社では「半日勤務からスタートする最大3ヶ月間のリハビリ出社」の制度があります。休業開始から3〜4ヶ月で復帰するケースが多いようです。

B社では「コアタイムからスタートし、2週間で終了するリハビリ出社」の制度があります。A社よりもハードルが高いため、4〜5ヶ月かけてしっかり体調を整えてから復帰するケースが多いようです。

C社ではフルタイム未満の復職を認めていません。そのため、図書館などを利用した自主的な復職訓練や、専門の機関を利用した出社訓練を休業中に行っています。こうなると出社まで6ヶ月程度かかるそうです。

回復を支援する休業中の面談のやりかた

職場復帰をスムーズに進めるためには、自社の復職制度をよく理解した上で、本人にタイミングよく説明し、不安を取り除くことが大切です。そのためには「休職開始時から復職後まで、月1回程度、産業保健スタッフと本人が面談を行う」という方法が有効です。

面談では、自宅での過ごし方や回復の状態を本人と一緒に確認します。また、主治医や家族とどんな話をしているのか教えてもらいます。体調の変化や気持ちの変化、復帰への不安について話をしながら、次の段階に進むための工夫や注意点について考えていきます。病状が安定してきたら、調子を崩す要因や、調子を回復させる要因についても話をしていきます。

こうした面談を続けることで、本人の回復の段階を確認しながら、休業中の不安を軽減し、復帰のタイミングについて適切なイメージを持ってもらうことができます。また、発症の背景や原因について時間をかけて話をすることで、職場復帰時の環境調整や、再発防止のための貴重な情報が得られます。さらに、面談の結果を人事や職場にフィードバックすることで、職場復帰にむけた関係者の認識を統一することができるのです。