Archive for the '産業医' Category

「いつもと様子の違う部下」への上手な声のかけ方

Job interview

部下の健康管理のポイントは「いつもと違う様子に気づき、声をかけて話をきき、社内窓口につなぐ」ことです。今回は「声のかけ方」の例を見てみましょう。

近頃、部下の山田さんの様子が気がかりです。口数が減り、いつもの元気が感じられません。表情も堅く、業務の報告も滞りがちです。先週は珍しく遅刻が続きました。そんな山田さんに思い切って声をかけてみましたが……。

課長「最近、元気がないけど大丈夫?」
山田「はい、大丈夫です……」
課長「悩み事でもあるの?」
山田「いえ、別に……」
課長「仕事が進んでないようだけど」
山田「……すみません」
課長「ちゃんと眠れてるの?」
山田「いえ……」
課長「じゃあ、病院に行ったら?」
山田「いえ、とんでもない。大丈夫です……」
課長「そう。無理しないでがんばってね」

大丈夫です、と言う山田さんの様子は、あまり大丈夫そうではありません。困った課長は、産業医に対応のアドバイスを求めました。

20080901-082221-560
産業医からのアドバイス
①反論したり遮ったりせず、傾聴を。
②体の症状のつらさを受け止めて。
③産業医面談をはっきりと指示する。

次の週、課長は山田さんに再び声をかけてみました。

課長「最近、以前と比べて、元気がない様子が続いているね。私も心配なんだ。体調や仕事で、変わった事があれば話してくれないか」
山田「実は、体調が少し悪くて……」
課長「体調が悪いって、具体的にはどんな感じなの?」
山田「よく眠れないんです……」
課長「そう。よく眠れないんだ」
山田「ええ、なかなか寝付けないんです。なのに明け方、3〜4時には目が覚めてしまうんです」
課長「そう。明け方も早く目が覚めるの。寝不足が続くと、体がつらいよねえ」
山田「はい。朝、体が重くて、なかなか動けないんです。でも、仕事しなくちゃって、なんとか出社するんです」
課長「そう。寝不足で体がつらいのに、仕事しなくちゃと思って、無理をして出社しているんだね。しんどいのに、がんばっていたんだねえ」
山田「はい……。申し訳ありません……」

課長「寝不足がこれ以上続くとつらいでしょう。どうかな。医者に診てもらっては?」
山田「いえ……そこまでは……」
課長「無理強いはしないけど、山田さんのこと、僕も心配しているんだよ」
山田「はあ」
課長「まずは産業医の先生に相談してみようよ」
山田「でも……」
課長「部下の健康管理は、私の大切な仕事なんだよ。それに産業医面談の内容は、プライバシーが守られるから、安心して」
山田「わかりました。そうしてみます」
課長「よかった。私から連絡しておくよ。何かあれば、いつでも相談にのるからね」
山田「ありがとうございます」

「部下の仕事ぶりや様子が気になる、どう接すればよいかアドバイスが欲しい」 そんな時は産業医や、会社で契約しているEAP機関など、社内外の専門家に相談してみましょう。上司が適切なタイミングで介入することで、メンタルヘルス不調につながる「ちょっとしたストレス」「ちょっとした仕事の悩み」の早期解消につながります。

職場復帰支援に欠かせない「ケースマネジメント担当者」の働き(1)

iStock_000002098320Small

「メンタルヘルス不調者の対応に困っている」会社はますます増えているようです。外部EAP機関と契約してストレス調査をしたり、復職支援の社内ルールを整備したりしたものの、肝心の事例対応はまだまだうまくいっていないのだそうです。

そうした人事担当者の話を聞いてみると、事情は少しずつ違うものの、共通する課題が見えてきます。それは「社内の基本的な健康管理の仕組みがうまく機能していない」という、深刻な問題です。

●基本的な健康管理の仕組み

会社は、健康問題を抱える社員に対して、休業や就業制限、配置転換などの必要な措置を行います。その際に、医学的なことがらに関して医師(主治医や産業医)の意見を聞くことを求められています。

医療職のケースマネジメント機能の強化(スライド).014-004.jpg

つまり、従業員の健康上の問題について、会社はまず社員を産業医と面接させ、職場で必要な対応について産業医の意見を求め、それから必要な人事的な措置を行うという手順をとります。

●メンタル事例対応がうまくいかない理由

従来、身体疾患やケガの管理が主流だった時代には、この健康管理の仕組みがそれなりに機能していました。ところが、メンタルヘルス不調が増えてくると、この枠組みがくずれはじめたのです。

メンタルヘルス不調者の健康状態や職場への適応について把握するには、主治医の診断書を見るだけではなく、本人と十分に時間をかけて面接し、さらに上司や人事担当者、家族などからも情報を得る必要があります。

ところが、非常勤産業医にはそのための十分な活動時間がありません。メンタルヘルス事例に関する経験不足なども加わって、結果として、社員の健康状態を十分に把握することや、職場での対応について適切な助言を行うことが難しくなっているのです。

医療職のケースマネジメント機能の強化(スライド).007-001.jpg

また、メンタルヘルス不調は回復に要する期間が非常に長く、業務パフォーマンスにも長期に影響を与えます。そのため、休業前から復職後まで、職場・人事・産業医の連携を継続することが欠かせません。しかし、こうした連携のノウハウを持つ人事担当者は少なく、関係者が力を合わせて現場を支援し続けることができなくなっているのです。

●産業医と人事の連携を強化する秘策

産業医の活動時間不足と人事担当者の経験不足を補い、産業医と人事担当者の連携を支援するための仕組みとして「ケースマネジメント機能」の強化が注目されています。

医療職のケースマネジメント機能の強化(スライド).020-001.jpg

ケースマネジメント担当者とは、メンタルヘルス不調者の職場復帰支援のための知識と技術を持ち、本人・人事・上司・産業医のそれぞれの連携を支援する、事例対応のスペシャリストのことです。

企業によっては、ケースマネジメント担当者として、メンタル事例専任の産業医を置いたり、社内に心理専門職を置いたりする場合があります。また、すでに雇用されている保健師や看護師を再教育して、産業看護職がもともと持っているケースマネジメント機能を強化するやり方もあります。

ケースマネジメント担当者の具体的な役割や業務、育成方法については、次回以降の記事で解説します。

40過ぎたら “がん年齢” 人間ドックおすすめメニュー

A young caring doctor

 現在、わが国の死亡原因の1位はがんです。診断と治療の進歩により、一部のがんでは早期発見・早期治療が可能となってきました。がん検診はがんの死亡率を減少させることができる確実な方法です。

 近年では、がん健診の効果を科学的な方法で評価した上で、「効果がある」検査を実施するのが国際標準となってきました。代表的ながんについて、おすすめの検診方法を紹介します。

胃がん(40歳以上):胃部X線検査(バリウム検査)を受けましょう。所見がある場合は胃カメラで精密検査を行います。

肺がん(40歳以上):胸部レントゲン検査に加え、喫煙者は喀痰細胞診検査を受けましょう。精密検査では胸部CT検査を行います。

大腸がん(40歳以上):検便による便潜血検査が効果的です。所見があれば精密検査(大腸カメラ)を行います。

子宮頸がん(20歳以上の女性):2年に1回は細胞診検査を受けましょう。

乳がん(40歳以上の女性):2年に1回は視触診とマンモグラフィ(乳房X線)を併用した検診を受けましょう。20〜30歳代でも月に1度は自己チェックを行い、しこりなどがあるときは早めに乳腺科を受診しましょう。

肝臓がん:肝臓がんはB型・C型のウィルス性肝炎から、慢性肝炎・肝硬変を経て起こることが多いため、年齢に関わらず、1度はB型・C型の肝炎ウィルス検査を受けておきましょう。

前立腺がん(50歳以上の男性):2年に1度はPSA検査を受けましょう。数値が高い、あるいは前年より数値が上昇している場合は泌尿器科で精密検査が必要です(※今後ガイドラインが変更される予定です)。

 40歳以上の方は、がん検診が含まれる人間ドックの受診をおすすめします。会社によっては、健康保険組合などが補助を出すところもありますので、ご確認下さい。

参考:国立がんセンター:がん検診について

メンタルヘルス対策:必要な「人」と「仕組み」

business team

さまざまな企業が、それぞれの組織の中でメンタルヘルス対策に取り組んでいます。しかし、休業者の職場復帰支援ひとつにしても「うまくいかない」と悩んでいるところが多いようです。

企業のメンタルヘルス対策、特にメンタルヘルス事例の対応(ケースマネジメント)には「人」と「仕組み」の両方を整備する必要があるだ、というのが僕の考えです。それでは、どのような人と仕組みが必要なのでしょうか。以下、僕がお世話になった先生の受け売りです。

メンタルヘルス事例対応の担当者として必要な人

  • 職場の中のことを知っている人
  • メンタルヘルス不調の病態を把握し、主治医や本人から情報を得られる人
  • 人事や職場からも情報を得られる(得ようとする)人
  • 得た情報を適切に判断し、対応のポイントを人事に説明できる人

メンタルヘルス事例対応に必要な仕組み

  • 担当者が本人と継続して面談できる仕組み
  • 上司、現場、人事、担当者の間で、情報のやり取りができる仕組み
  • 大事なことは紙に残る仕組み

こうした「担当者」の配置方法や「仕組み」の作り方は、企業の規模や、事業所の人数構成、産業保健スタッフの体制によっても異なります。例えば「事例対応の担当者」を産業医がつとめている企業もあれば、看護職や臨床心理士がその役を担っている企業もあります。

参考:生産性新聞の連載記事

日本産業ストレス学会とポメラ

産業ストレス学会とポメラ

12月5日〜6日は東京大学で行われた日本産業ストレス学会に参加してきました。

今回の学会のテーマは「産業ストレス対策の国際標準」。現時点では特にグローバルスタンダードと呼べるものはありませんが、各国ともエビデンスを大切にしながら、同じような方向で対策が進んでいるようです。

学会ではキングジムの「ポメラ」が大活躍。これまでも何度か取り上げているテキスト入力マシンです。乾電池で約20時間使えるので電池切れの心配はありません。暗い会場内では画面が見づらいので、文字サイズを一番大きくして使用しています。膝の上で入力する時は、キーボードが2つ折りにならないように、下にコートやカバンなどを敷いておきました。

講演を聞いていると「あ、あれを確認しておこう」「お、こういうことを検討してみよう」と、いろんな事を思いつきます。そんな時は文頭に「*:」というヘッダをつけてメモしておきます。後から「*:」という文字列を抽出すると、大事なアイディアをサッと整理することができるのです。

今回「*:」が付いたのは、次のような項目でした。

  • 職場巡視後の改善活動への関わり方・進め方
  • 安全衛生活動の質の評価と年間計画
  • 活動を記録・評価できるような仕組み
  • 障害者雇用について確認する事柄
  • 若手社員の離職について確認する事柄
  • ストレス調査について確認する事柄
  • ○○部の職場環境改善の今後の進め方
  • 安全衛生委員会の来年度の進め方と議題
  • 担当者のケースマネジメント能力の育成
  • 職場復帰支援の評価と改善
  • EAPの活用と質の評価
  • EAPとの契約内容の確認
  • 再発予防のためのCBT的働きかけ
  • 新入社員研修の内容
  • WEBから入手する資料

それぞれの項目の中には、さらに5〜7個くらいの小項目があったりして、ずいぶん充実したメモができあがりました。社内の担当者の協力を得ながら、ぼちぼち&確実に進めていこうと思います。