IT業界を産業医の視点で見つめてみる

ITエンジニアの皆さん,もっと悩みを聞かせてください (日経BP IT Pro)
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20031015/2/

「ITエンジニアを対象とした意識・実態調査」という調査結果から、現在のIT業界の問題点を指摘した記事です。「開発者 対 営業」という対立の構図は以前から指摘されていますが、この調査によってあらためてIT技術者の置かれている過酷な状況が浮き彫りになりました。
 
以前勤務していた大病院で、Webベースの紹介状発行システムが導入されたときのことです。現場の仕事について何も知らない病院の事務スタッフがシステムを発注し、その後も極秘に開発が続けられ、ユーザーである医師にとって実に不便でバグだらけのシステムが完成するという怪事件がありました。

つまり、タコな営業が無理っぽい仕事をひきうけて、ユーザーの業務内容にフィットしないソフトウェアを突貫工事で納品すると、ユーザーにまで不利益が及ぶということです。開発者にとっては「血尿を出しながらユーザーに喜ばれない仕事をする」という報われない状態となります。

このようなIT業界では健康を損ねて離職する社員も多いと言います。大きな問題が起こる前にストレスフルな職場に介入し、職場環境の改善と全体的なパフォーマンスの向上に寄与することは産業医の職務のひとつです。この分野の研究は各方面で進められていて、職場のストレスを要素にわけて数値化する方法もいくつか提唱されており、職場改善の指標としての有益なツールになっています。

しかし結局は、その職場のリーダーなり上司なりが、現状の問題点に気づくことができなければ何も変化は起きません。過労による鬱病で社員が自殺し、1億円を超える賠償金を家族へ支払うことになった「電通訴訟」の例もあります。従業員の健康や快適な職場環境のためだけではなく、企業としてのリスク管理の面からも、ストレス管理に対するニーズは高いのではないかと思います。

いずれ産業医として、この方面でも「はたらくひとびと」のお役に立てればいいなぁと考えています。

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