腫瘍マーカーじゃ、ガンは見つからない?
40歳を過ぎるといわゆる発ガン年齢に入ります。血液検査で簡単にガンの検査ができるからと、人間ドックなどでは腫瘍マーカー検査が人気を集めているそうです。腫瘍マーカーとはガン細胞が作る物質のことで、その濃度を測定してガン細胞の有無を予測するのです。

しかし、腫瘍マーカー検査には大きな問題がふたつあります。ひとつは、腫瘍マーカー検査が必ずしもガンの存在を言い当てないということです。例えば前立腺ガンの腫瘍マーカー(PSA)は、前立腺炎や前立腺肥大症など他の病気でも値が高くなります。逆に、進行した前立腺ガンがあるのに、PSAがまったく上昇しないこともあります。
もうひとつは、腫瘍マーカーとガンが明確に対応していないことです。例えば、大腸ガン、膵臓ガン、肺ガン、乳ガンなどは、いずれも同じ腫瘍マーカー(CEA)の値を上昇させます。腫瘍マーカーとなる物質がまだ見つかっていないガンもあります。
したがって、腫瘍マーカーは高いけれどガンが見つからなかったとか、腫瘍マーカーは低いのにガンが進行していたという例も多いのです。一般的に、最終的なガンの診断は、CT、エコー、胃カメラなどの画像検査と、細胞を顕微鏡で調べる組織検査で行われます。腫瘍マーカーは補助的な検査として使われています。
■ PSA検査結果の読み方
当社では、本年度より前立腺ガンの腫瘍マーカー(PSA)検査を実施しています。50歳以上の男性社員は、1年おきにこの検査を受けられます。国内外の研究結果を参考にして、PSA検査には次のような判定基準を設けました。
・0.0~2.0 ng/ml : おそらく大丈夫
・2.1~4.0 ng/ml : 6ヶ月後に再検査を
・4.1~ ng/ml : 泌尿器科で精密検査を
PSAが2.1~4.0 ng/mlだった場合は、6ヶ月後に再検査を受けてください。1回目と比べて2回目の数値が大きく上昇している場合には、超音波検査や細胞検査などの精密検査が必要です。
PSAが2.0以下でも、まれに前立腺ガンが存在する場合もあります。これがPSA検査の限界なのです。
■ ガン検診の上手な受け方
「自分の健康は自分で守る」が当社のモットーです。ガン検診を受けるか受けないかは、皆さんひとりひとりが、以下のポイントを総合的に判断して決めてください。
・そのガンの発生リスク
・検診の有用性 (検診を受けることで長生きできるか)
・検査の簡便性
・金銭的・時間的なコスト
・ガンに対して自分はどう思っているか
・ガンに対して家族はどう思っているか
例えばこれは僕の意見ですが、こんな受診のしかたをおすすめしています。
● 胸部CTあるいは喀痰検査(肺ガン) :タバコをよく吸う男性
● 胃カメラ(胃ガン): 症状のある人、胃ガンの家族歴がある人、40歳以上の人
● 便潜血(大腸ガン): 40歳以上の人は全員毎年受ける
● PSA(前立腺ガン): 50歳以上の男性
● マンモグラフィーと視触診(乳ガン): 30歳以上の女性
● 細胞診(子宮頚ガン): 30歳以上の女性
● 腹部エコーと造影CT(肝臓ガン): 慢性肝炎の人は年に数回必ず
最近では、全身をいっぺんにスキャンしてガン細胞を発見するPET検査に注目が集まっています。ただし、設備を持っている病院が少ないこと、費用が高いこと、ガンの種類によっては従来の検診のほうが精度が高いことなどが指摘されています。
参考サイト
◆ 国立がんセンターホームページ (以下の3つのページも)
◆ 腫瘍マーカー
◆ 科学的根拠に基づくがん検診
◆ ポジトロンCT(PET)検査
この記事は、私が専属産業医をしている企業内で配信しているメールマガジンの内容を、ウェブ用に書き直したものです。
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2005年7月24日 15時43分 #
近い将来、遺伝子検査を行って、リスクの高い部位の病気のみ検査するようになると思います。血液や尿のような低侵襲な検査なら全例施行してもいいし、コストは大してかからないけれど、内視鏡検査になると患者の負担も医療者側の手間も膨大です。
問題は遺伝子情報の保存と機密保持です。一生変化しないものを何度も検査するのはコストがかかるけれど、保存しておくと必ず漏れます。