ストレス対策・初級編 「敵を知り、己を知る」
「ストレス」、最近、この言葉を耳にしない日はありません。新聞を開いても、書店に行っても、TVをつけても、「ストレス」の文字が躍っています。しかし、その大部分は「仕事をしているのだから、ストレスがあるのも仕方がない」とあきらめ混じりで、「けれども、ストレス対策は重要である」というお題目を繰り返すのみです。
実は、ストレスの問題は人間の『認知』に深く関わっています。自分はどんなことをストレスと感じるのか、個人の感じ方のクセを自覚するだけでストレスは大きく軽減されます。「どのような時にストレスを感じるか」 「なぜそれがストレスなのか」と具体的な状況や理由を考え、漠然と感じていたストレスの正体が明らかになるうちに、自然と対策が見えてくることもあります。
以下の例を参考にして、あなたのストレスについて、じっくりと考えてみてください。
【営業職の場合】 「客先に出るのがストレス」→(なぜか)→「客と話をするのが苦手だ」→(どういう時か)→「話がとぎれてしまう。最初に何を話せばよいのか」→(なぜか)→「話題がない」→(なぜか)→「客のことをよく知らない」→(どうするか)→「相手の情報を仕入れておく。あるいはいつでも使えるネタを2つ用意しておく」→(できそうか)→「準備はできる。でもやっぱり話すのは苦手」→(どうするか)→「まあ、やってみて慣れるしかない」
【修理技術職の場合】 「仕事が多すぎる」→(どういうことか)→「コールに振り回されている感じ」→(どういう時か)→「昼食がゆっくり取れない。夕方になることも多い」→「昼食をいつとっても仕事量は変わらない」→「最低でも30分は休憩して時間の区切りをつける」→「ひとりだけでは実行が難しそう」→「チーム内で相談してみるか」
【事務職の場合】 「仕事が多すぎる」→「家に帰っても仕事が気になる」→「翌日に仕事が残っている時は特にそうだ」→「布団に入っても明日はまずこれをして次にあれを…と考える」→「翌日の段取りがいつも気になる」→「翌日の段取りを帰社時にメモして机に残し、その後は仕事のことは忘れるようにする。出社時にそれを見て仕事を始める」→「翌日に急な仕事が入ることがあるし…」→「そのときはその時」
【怒鳴る上司】 「A課長が苦手」→「気に入らないといつも理不尽なまでに怒鳴る」→「こっちは間違っていないのに」→「指示通りにやっても怒る」→「指示も不明確な時があり、結局怒鳴る」→「おまけにやり直させられる」→「怖いから顔を合わせたくない」→「ますます指示が伝わらない」→「悪循環」→「怖いけど仕事を受ける時にきちんと意図を確認する」→「そんなこともわからないのかと怒られそう」→「後で怒鳴られてやり直しさせられるよりマシか」
【会社人間】 「会社がストレス」→「気がつけくと仕事ばかりしていて自分の生活がない」→「残業ばかりで家に帰るとすぐ寝る。目が覚めたら出社」→「会社人間にはなりたくない」→「自分の時間がない。好きなこともできない」→「休日も疲れて寝るばかり」→「楽しいことが特にない」→「一週間が苦痛」→「仕事以外の時間を作る必要あり」→「週末に楽しい予定を入れる。残業しない日を決めて寄り道をする。社外の人間関係を作る」
【ある産業医の場合】 「毎週の大阪出張がストレス」→「東京から大阪まで片道4時間の通勤がしんどい。毎週3日家を空けるのも…」→「移動時間と、出張した夜はすることがない」→「自分の時間を削られていると感じる」→「時間を何かに使う」→「新幹線の中はメールを書く時間にする。大阪で予定を組む(友人と食事、英会話教室など)」→「新幹線は窮屈で作業すると疲れる」→「たまには自腹を切ってグリーン車に乗る」→「プラス5000円は高すぎるだろう!!」→「ストレス対策として自分への有意義な投資と考えろ!!」→「そんな強引な…」
(この記事は、私が専属産業医として勤務している会社で、全社員に向けて毎週配信しているメールマガジンの内容を、ウェブ用に書き直したものです。)
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