「新撰組」の舞台を見に行く

 友人に誘われて劇を見に行きました。ほんの目の前にあるステージが、役者さんたちが演技をはじめたとたん、まるで別世界になります。一種類しかないセットをうまく利用して様々な場面を演じたり、場所の移動や時間の移り変わりを表現する演出の工夫のはおもしろいと思いました。見たい映像をダイレクトに見せてくれる映画やテレビとちがって、演劇では、舞台の上の光景をいったん脳の中で変換するというプロセスが必要になります。とても刺激的な体験でした。
 
 演じられたお題目は「新撰組」です。新撰組の発足から主要メンバーの死まで、最初から最後までを描いた大作です。お恥ずかしいことに「新撰組」が何者なのかまるで知らなかったので、ちょうどよい勉強になりました。新撰組というのは、ご存じのように幕末の京都で活躍した武闘組織です。最初は治安維持のための集団でしたが、だんだん時代に取り残され、いつの間にか、自分たちの「信念」のためだけに戦うようになっていきます (というストーリーでした)。

 「信念のための戦い」と言えば聞こえがいいですが、革命家もテロリストも、信念のために戦うひとたちです。お芝居はおもしろかったのですが、どうもこの「新撰組」とやらが好きになれず、途中で何度も「それは違うだろ!」と、舞台の上に怒鳴り込んでいきそうになりました。

 後半、「幕府も朝廷も関係ない。我々は我らの誠に殉ずるのみだ。」というセリフがありました。こうなると、新撰組は「武士への憧れと地位に固執するあまり、同胞をも殺害しまくった元農民たちの集団」という、理解しがたい人たちに見えてしまいます。まあ、これも新撰組というもののひとつの演じ方、そして、ひとつの受け止め方なのかもしれません。

 「もしかしたら、新撰組なんかいなくても歴史には影響がなかったかもしれないけれど、幕末の時代は、あっさり人が死んだり殺されたりするような時代で、ああいう人たちが激しく生きていたのだなぁ」というのが、僕の抱いた感想です。

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